臨床とは、「孤独のそば」に居続けること
「臨床」の語源は「死の床に臨む」という意味です。
医療が未発達だった時代、治療者は患者の最期を看取り、家族や僧侶とともにその側に居続けました。この「傍らに居続ける」姿勢こそが、臨床の原点といえるでしょう。
多くの精神疾患は直接的に命を奪うものではありません。只、症状や特異な思考と行動が他者との摩擦と断絶を招き、深い孤立や絶望に陥ると、心理的・社会的な意味での「死の床」とも言えます。
現代の精神医療では、医師が薬で症状を緩和し、家族は見守り、臨床心理士は「対話」を通じ、クライエントの心的・社会的な「死の床」の傍らに居続けます。
臨床心理士のカウンセリングは答えを与えることではなく、クライエントが自ら答えを見つけ出せるような「場」を作ることにあります。この「場」は自由にして保護された「場」であり、安全に静かに自分と向き合い、「対話」する事ができます。